「ハッ、ハッハッ」
走る。


青年は必死に校内を走る。途中で人とぶつかろうが知ったことではない。

その中には教師がいた気がする。ああだから知ったことじゃないんだ!!

(やべえやべえやべえやべえ!!)

なんでだ。今までばれたことなどなかった。いつものようにやっていたはずなのに。

門までの道のりがこんなに長いと思ったのは初めてだ。

ああくそ、急がないと急がないと。
捕まったらそれこそお終い―――。


「はい、止まってくださいね」


こみ上げる悪寒に動きを止めた。

「う・・・」

「ふふ。どこへ行かれるおつもりでしたか?」

気安げに肩を叩かれる。振り返ればいつものようににこにこと笑っている。少女は彼と同学年であり、何を考えているか分からないと評判だった。

「あ、あ、あ。――あの、俺は」

弁解しなければ、と思う。なのに言葉が出てこない。

「わたくしにはあなたのお話を聞く必要もつもりもございません。お話でしたら、ジーンさんたちとなさって下さい」

ぼんやりとした口調なのに、声音なのに。妙に抗えない威圧感。

「ポケットの中のもの、先に渡してくださいな。妙な・・・」

予備動作はない。

左の肘が少女――イルニアの顔面に入ろうとする。当然のようにイルニアは1歩下がり鼻先でかわした。だがそれは予想範囲内。

欲しかったのは1歩踏み出すためのこの距離だ。

青年もまた魔法使いだ。腰を入れ、一節で唱えた強化魔法を、右の拳に乗せ少女へと迫る。
大丈夫、うまく逃げ切れる。そう確信した瞬間だった。

誰もいないはずの後ろから。心底呆れたような言葉が聞こえたのは。

「ばっかじゃねぇ?」

ブォン!と耳元で音がした。
青年が何事かと気付く前に、意識は飛んだ。

身動きをとらなかったイルニアは、倒れた青年の真後ろに立つ友人に満面の笑みを向ける。

「ハーウェイさんお手柄ですね」

「なんでわざわざ話しかけたりしてるんだよ。わざわざ俺を待つ必要ねえだろーが。俺より殴り合いが得意なくせに」

「わかってませんわねぇ・・・女の子は、誰だってピンチの時にはお姫様になりたいものなんですよ?」

「嘘だ。ありえねぇ。知らねえと思ってんのか、俺以外と組んでる時は毎回毎回、問答無用で自分から・・・ぐぉおおおおお!?」

「何か?」

可愛らしく小首を傾げつつも、その両手はハーウェイの頭をつかんでいる。華やかさとは反し、腕には計り知れない力が込められていた。強化魔法は使われていない。あくまで、イルニア自身の力である。

「きたねえええ!いつもそう力ずくで済むと思うなよー!横暴なのはジーンだけぎゃぁぁああ!?ぐぬぬぬ・・・!はーなーしーやーがーれー!凶暴、猫かぶり、詐欺師!」

みしり、と少し嫌な音を聞いた。
「いでぇ!いだ、いだだだだだ!ちょ、イルニア、マジ洒落にっ!?」

とまらない。そろそろ皮膚下から汗が噴出してくる。
「あ、ほら、そこに転がってるやつ!早く連れて行かないとっ!」

さっきより悲痛な口調で訴えた。イルニアを見据え、生唾を飲み込む。
いかん、目が笑っていない。

「ごめんなさいすみません。今言ったの全部嘘ですよ嘘。やだなぁイルニアさんみたいな素敵な淑女にこの僕がそんなこと言うわけないじゃないですか」

「やだ、素敵だなんてハーウェイさんたら」
赤面し、照れるイルニアだが、ハーウェイはこの世の絶望を垣間見た。どうやら頭にかかる力が強まったらしい。

「ほんとですほんとです。はっはっは。イルニアさんみたいな理想の女性の為だったら僕なんでもしますよ。ほらほら、そこに転がってるの僕が持っていくためにもできればこの手を離してほしいなー、なんて」

頭にかかる力が弱まり、すっと楽になった。安堵の息をついたのもつかの間、今度は両肩にするりと腕を回される。

体はぴったりと密着し、背後から抱きしめられるような形になと、体を固まらせたが一向に動く気配はない。眉をひそめ少女の名を呼んだところでようやく口を開いた。

「ハーウェイさん、ひどい」

耳元で寂しそうに、甘ったるく囁かれる。

「イルニア?」

そんなことはされたのは初めてであり、戸惑いを隠せなかった。加えて女性が苦手であるハーウェイは首まで真っ赤になる。

今まで恋愛経験も乏しく、加えて後ろの少女をそんな対象としてみたことがなかった。

急激に異性というものを意識し始めた心臓が高鳴りをあげる。

「ハーウェイさん。わたくしの気持ちをわかっていただけないんですか」

柔らかな指が首を伝う。耳にかかる吐息が熱く、唾を飲み込むと汗でにじんだ手を硬く握り締めると気を引き締めた。
呼吸音。情けないことに―――身体が動かなかった。


「イルニア、お前」

「・・・わたくしのボトルシップ、壊しましたよね」

「あ」

やっべー。

罠に引っかかった自分に悪態をつく。
ときどき痛感するが、ときおり予想も付かない芸風を使ってくる。

こりゃー新技だなーとか完全に認識する前に、カクン、と落ちた。

「・・・わたくしの、ボトルシップちゃん」

天を仰ぎ、模型への冥福を祈り終えると、未だ昏倒し続けている青年のポケットを探り始めた。

やがて目的のものを見つけたらしく、手のひらの銀色のケースを収めていた。

石ころを見るような冷ややかな視線は、軽蔑にちかい。

中身を見ると注射器と、真っ赤な液体がつまった小瓶。やってられないと言わんばかりに首を振る。

「薬で魔力を強化しても、いいことなんてありはしませんのにねぇ」

ケースをしまい、軽い荷物のような気軽さで青年とハーウェイの足をつかむと、軽い足取りで歩き出した。

ずるずるずるずる。

「やっかいですわねぇ」

角に頭をぶつけたハーウェイが短くうめき声をあげた。











生徒会室に入ったときにはイルニアとハーウェイの姿はなかった。どうやら急用ではずしたらしい。

「アリシア先生、今日お暇ですか?」

「今日・・・放課後?」

宿題を一休みし、向かいに座っているジーンが頷いた。

「予定はありませんが…。何かありました?」

「執行部の用向き、というわけではないんです。あ、でもやっぱりそうなのかな?ん、でも違うのかな・・・」

執行部と接するようになってわかったことは色々あるが、それはジーンについてもあてはまる。

普段は皆を引っ張る、凛とした空気をまとう娘なのだが、同時に結構などじもやらかすのだ。

真っ直ぐさがから回りするといえばいいか。
周囲もわかっているのか、ネリィやネヴィルが無言でフォローに回る事が常だった。

「お料理はできます?エディルの料理とかできると素敵ですけど」

「できると思いますけど」

質問の意図がつかめないが、とりあえず素直に答えておく。

「このあとですね、みんなで集まってご飯を食べようってことになってるんです。先生もご一緒に如何ですか?」

好意からの誘いだ、と思う。ちょっと…いやかなり嬉しい。

「迷惑でないのなら…」

言ってから自分の堅苦しさに嫌気が指した。どうせなら是非、とか喜んで、とでも言えばよかった。

「よかった。では今日は早く切り上げましょう。下準備もありますし」

「下準備?」

「夕食は作るんですよ、自分達で」

「主にネリィが」

ぼそりと口を出したのはネヴィルだ。手早くテーブルを片している。彼は基本的にあまり喋らない。

喋るとしても短く、用件をだけを言うだけなので冷たい印象を与えがちなのだが甘いものが好きだったり、可愛いものが好きだったりと中々かわいらしかったりする。

耳ざとく聞きつけたジーンが素早く手刀を落とし、ネヴィルは防御する。

二人はにらみ合い。やがてどちらからともなくニヒルに男前なホホエミを交わし、離れるのだ。

目で会話しているのだ。「てめぇ覚えてろ」「やれるものならやってみろ」と。

現在も二人の喧嘩は頻繁に起こっている。はじめはただの先生に嫌がらせのつもりだと思っていたが、案外本気でやっていたのだと、今なら理解ができていた。






そうこうしているうちにイルニアとハーウェイが戻ってきた。
ハーウェイは涙目の上、背中はほこりだらけである。

イルニアから耳打ちで何か知らされたジーンは頷いた。
「ネリィたちは先に向かってて。私、少しおじい様のところに寄ってから行きます」


こういう時は詮索しないほうが良い。
ジーンを除いた全員で郊外に出る。ジラとルーカスとも合流し、前方に未成年達、後方に保護者と分かれて歩き出す。

上機嫌でアリシアと強引で腕を組んでいるのはジラである。

「ジラ。歩きにくいので離してください・・・」

「いや」

始終この調子である。

ジラに合わせてアリシアも名前で呼ぶようになったのはつい最近だ。
表には出さないが、照れくさい上に相変わらず間違える。

あれがいいこれがいいと言って道中に露天で買い物をする。
ほとんど肉ばかりだ――。野菜も買えとルーカスが笑う。



「そういえば、どこに向かってるんです?」

「ルーカスの家」

「ロス先生の?」

「そ。2人暮らしの割にでかいのよ。6人家族ぐらいなら悠々で住めるんじゃないかしら」

そういえば連絡球でのキーワードに本通りとあった気がする。確かに、本通りに自宅を構えているのなら大きくて当然かもしれない。

「2人暮らし?」

「知らない?娘と一緒に住んでるのよ」

「娘」

「うん、普段は知り合いの家に預けてるみたいだけど。週末2日ぐらいは一緒にいるのよ。今までも何度かこうやって集まってるし全員とは顔見知り」

そこで少し真剣な表情に変わる。

「アリィちゃん、アイツに子供がいるってこと誰かに言っちゃダメよ。あれで結構色々と恨み買ってるみたいだから、あんまり公にしてないの。・・・アリィちゃんを呼んだってことは、多分話す気だったんだろうからアタシが先に言っちゃったけど」

「聞かれなかったら・・・言いませんけど」

確約はしない。
あまり言いふらしたいことでもないから沈黙は守るが上司からルーカスに娘はいるのか?と聞かれれば、はいと答えるだろう。

そんな質問あるとも思えないが。

そこはジラも思ったのだろう。そっかと一言で終わる。

「あの、だから離してもらえませんか」
「いや」

そんな問答を繰り返している内に立派な門構えの家に到着した。
2階建ての白い家だ、というのが第一印象か。感じ入るように眺める。

門から玄関までは大して長くもないがドネヴィア特有のレンガ道。
1本、豊かな緑がなっている木がはえている。ぱっとみわからないが奥の方、枝にスカーフが巻かれている。
玄関にはちょこんと植木鉢が置いてある。

柵に近づくと自然に開閉し、便利だった。
内側から扉が開く。

「おかえりなさい、お父さん」

「ただいま、イオ」

頬を上気させ、嬉しそうに目を細める少女にアリシアは覚えがあり、向こうもアリシアの姿を認めると丁寧にお辞儀をした。

「おねえちゃんも、こんばんは」
「あ、ああ。はい。こんばんは」

確かに、大事な娘が行方不明にもなれば親は慌てるものだなぁ、なんて。

実は、ミアと兄妹かと思っていただけにその可能性は思いも付かなかった。

つまりイオはルーカスの娘で、ミアはその知り合いの子供なのだ。

「どうぞ。こっち、です」

外から見たときに6人どころかもう少し住めそうなのだな、と思ってた疑問はすぐ解明する。

玄関から入ってそのまま正面。建物の中央がくりぬかれたような形になっていて、そこは一面緑の芝生が引かれてあるのに驚かされた。そう、庭だ。

一見それなりの大きさの屋敷に見えるのだが、中央の庭で面積をとっていたのである。

庭に面する1階部分はすべてガラス張り。これで庭を挟んだ向かいの部屋がよくわかるようになっている。さぞかし日当たりもいいに違いない。

「凝ってますね」

地味ではあるが所々の調度品が良い品であるのは見て取れる。

入って右半分がリビングと、少し奥がゆったりとできる広間。リビングからは遮断されるようにキッチンへのドア隠れている。これは客に水周りを見せないための工夫だろう。

正直に言えばきれいすぎる。きれいすぎて生活感は感じられない、そんな家。
だがそれも人が来れば一気に変化する。


材料をテーブルへ置き、ひと段落したところで疑問を口にした。

「ネリィはわかりますけどあとは誰が料理を?まさか全員は台所にはいらないでしょう?」

「はい」

挙手したのはオルゴットのみ。
「・・・・・・・・」

残りは、全員露骨に首をそむけた。

「先生、わたくしお手伝いし」

「気持ちだけで」

イルニアは危険な香りがする。
はたしてそれは当たっていたのか、後ろで青ざめたハーウェイが必死に頷いていた。


「先生、あちらの料理って何が作れるんですか?」
キッチンへ移動して、ネリィが興味を持っていたらしい質問をしてきた。

「大したものは作れませんね。あちらの料理といえば時間と手間暇をかけて作るものが多いですし。あとドネヴィアで育った人には味覚が合わないというのも特徴ですか」

「味覚?」

はて、と首を傾げるオルゴット。

「癖の強いスパイスを使うんです。ここは農耕と貿易も盛んですから、新鮮なもので素材の味を生かせますけど、向こうの料理は、食材も保存が効くもので作るのがほとんどで、臭みを消すためにスパイスで食材の味を潰すんですよね」

「へー」

「漁港が盛んだって聞いたことありますけど・・・」

「魚は美味しいです。おすすめはありますけど、生は無理でしょう?」

「え!?あ、な、生ですか!?」

「皮と身はちゃんとわけますけど・・・ドネヴィアではタコも食べないのでしたよね」

どことなく残念そうである。

「タ…タコって、あの、赤くてうねうねした気持ち悪いヤツでしょうか!?」

「気持ち悪いって・・・わからないですね。イカも同じようなものじゃないですか。美味しいんですよ。生でも、火を通しても」

「あんなの、海の悪魔ですよ!?先生、今日はまさか・・・」

「使いませんよ。さっきドネヴィアでは食べないって言ったじゃないですか。出回ってませんよ」

それはつまり出回っていたのなら使うということだったのだろうか。

半泣きになりつつもしっかりと手を動かす所は流石である。

道中買っておいた様々なスパイスの実をまぶしておいた魚の切り身を焼いていく。こんがりと、食をそそる匂いがただよう。

「センセ、それパスタにもらってっちゃだめ?」

「どうぞ。ソースと絡めるだけでしたから手間が省けます」

「ありがと」

ひょいひょい、とフライパンから焼きあがったものを取っていく。

「手馴れてますね」

「うん、親が共働きだからよく作る」

「なるほど、偉いです」

「そーでもないよ。他もみんなこんなんだし」

「それでも、ですよ」

「ふーん。あんがと」

言葉はそっけないが悪い気はしていないのだろう、オルゴットの耳が赤い。
三人がかりになれば早いもので、時間をかけることもなく料理が仕上がっていく。



「グラス行き渡ってる?…えっとそれじゃあ、今日もお疲れ様でした!乾杯!!」

『かんぱーい!!』

ジーンの掛け声と共に、嬉々とした掛け声とグラス同士がぶつかり合う音があがる。

テーブルの上に並んでいるのは3人が手を込めて作った料理だ。

大皿にトマトクリームに魚介類を乗せたパスタ、ロールキャベツ、つくりたてのチーズとトマトのサラダ、そうして中央にはパリッとした表面が香ばしい鳥の丸焼き。

特に鳥の丸焼きは逸品だった。きつね色の皮からナイフを入れれば、みはほくほくと、肉汁があふれ出し、中に詰めた香草の香りや色とりどりの野菜がたまらなく食欲をそそる。

丸焼きはネリィのアイデアだがスパイスと香草、野菜を詰め、焼き上げたのはアリシアである。
ドネヴィアにはない独特の味に仕上がったが好評であった。

美味しいといわれればもちろん嬉しい。だがアリシアの顔は浮かない。
「だまされた」

理由は視線の先にある。

各自食べたいものを大皿からとり口にしている。これはいい。問題は・・・。
「っぷはぁー・・・うめえ!」

酒である。
外国からきたアリシアには信じられない話だったが、ドネヴィアでは未成年がお酒をたしなむことはそれほど罪とはされていない。
儀式的なものというか、乾杯の1杯だけは弱いアルコールで共に祝うのだ。

強い酒は、大人組、成人の儀を終えているハーウェイだけなので許容できるが、強いアルコールの匂いが周囲に混じることが他の面々に良くない影響がでるのではないかと心配していた。

「お前はオヤジか。いい年した若者が」

「本物のおっさんにいわれたくないねー。なー、オル」

「どっちもおじさん臭い」

「ぐ」

「うぐ」

痛いところを付かれた。

そんな父に、控えめにイオが声をかける。

「お父さん、あれとって」

「ん。サラダか…だめだぞー、肉も食べなきゃ大きくなれない」

イオには少し遠めにある皿から取り分けてやる。

そうしているとまるっきり父馬鹿である。

そのすぐ横では。

「ジーン、これもこれも」

「ネリィ、私はネヴィルじゃないんだから、そんなに一気に食べられないの。少しずつ食べるからちょっと待ってってば。・・・その鳥大めにとって」

「はいはい、ヨアヒム君はどれがいい?」

「パスタで」

「流石です。オルゴット君の料理はすぐわかるんですね」

ぽっと頬を赤らめてこくりと頷く。

「愛ね」

「イルニア、飲んでもいないのに酔った発言はやめて」

「やぁーん、アリィちゃん飲んでないじゃなあい!」

そして大人1名はこれである。

皿を抱えて戻ったときにはすでに遅く、ジラ一人が出来上がっていた。
「飲んで飲んで!あたしとお話しましょうよぅ」

立派な絡み酒である。
腕を組んでいるときもそうだったが、正直同性に胸を押し付けられても何の感慨も浮かばない。

注意を促しても話は聞かない、泣き崩れたかと思えばいきなり笑い出す。

他の面子はジラに絡まれることを恐れてか助けようともしてくれない。酷すぎる、あんまりだ、もしかしてこの生贄のために呼ばれたんじゃなかろうか。

「聞いてますかっ。いーいぃ?あたしはねぇ、ありーちゃんを心配してぇ・・・」

酔えないとはわかっている、わかっているが、ヤケ酒の勢いでグラスをあおった。

「お?なーんだ!先生いけるじゃん!俺と飲み比べいこうぜ!ネヴィル、カウントとれ!」

「やりませんよっ、そんなものっ」

「まーま固いこと言わず。1、2の3で飲んでいこう。ジーン、音頭とってくれ」

「はいは〜い」

「ああっ、人の話聞きなさい!私はやらないと…ネヴィル、あなたもわざわざグラスを用意しないでっ」

「おねえちゃん、わたしと遊んでよぅ」

「・・・・・・父さんじゃだめか?」



とっぷりと、夜が更けていく。


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